静岡 済生会 特養
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2019年12月7日日ごと通勤電車のなかでマスク姿の人が増えてきた。きのう車内を見渡すと、着用率はざっと2割。おなじみのひだ付き横長マスクもあれば、海外のデモで見かけるような黒色もあった▼全国マスク工業会によると、マスクが普及したのはスペインかぜが猛威をふるった大正半ば。それ以前はもっぱら炭鉱で粉じんよけ用に使われた。昭和に入ると、インフルエンザ流行のたびに着用者が増える。花粉症で一段と浸透したという▼「他国と比較すると、日本のマスク文化はやや異質です。風邪でもないのにマスクをするのはなぜと聞かれます」。環境調査会社「環境管理センター」(東京)の飯田裕貴子技術部長(43)は話す。北京やバンコクでは主に排ガスや砂ぼこり対策。欧米では重病者の印象があるためか、外出で使う人は少ないという▼日本での用途は多種多様である。感染症や花粉症の対策のほか、のどを潤す、日焼けを避ける、たばこの臭いを防ぐ、すっぴんを隠す-。「目的ごとに開発された用途が広い。年中、マスク姿がとぎれません」▼飯田さんの本業は防じんマスクの効果などを調べることだ。街なかでマスクを雑に着けた人を見つけるともどかしくなる。「おまじないではないので、漠然と着けても効果はありません」。鼻からあごまで密封するのが大切だと話す▼きょうは二十四節気の「大雪」。予報によれば、全国的に真冬並みの寒さになりそうだ。外出の際、マスクを着けるなら、きちんと覆うようご留意を。 |
2020年2月26日先週、福岡市内で地下鉄が緊急停車した。「マスクをせずにせきをしている人がいる」。乗客が非常通報ボタンを押したそうだ。新型コロナウイルスへの恐怖ゆえだが、自分を含め、世の中が日々過敏になっていくようで心配になる▼中国から一時帰国した女性は、幼稚園の冷たい対応を嘆く。子どもの入園先を探す中、「見学するなら塀の外から」と言われた。日本災害医学会によれば、患者の治療にあたった医療関係者も理不尽な扱いを受けている。職場でバイ菌扱いされたり、現場で活動したことを謝罪するよう上司に迫られたり▼海外では日本が警戒されていると聞く。カザフスタンでは先週、日本や香港などから来た入国者を24日間の医療観察に付すと発表した。タイは自国民に日本への渡航延期を呼びかけ、太平洋の島国キリバスやツバルも日本を「高リスク国」と認定した▼何より驚いたのは、中東に駐在する同僚記者の体験談である。イスラエルの街を歩くと、「コロナ!」と何度も指をさされる。すれ違いざま、さっと口を覆われることも。アジア出身者が同じような目に遭っているらしい▼「中国から一時帰国した児童生徒等へ学校の受け入れ支援やいじめ防止等の必要な取組を実施する」。政府がきのう発表した基本方針の一節が気になった。国が声高に注意喚起しなければいけない現状が悲しい▼このウイルスの猛威もいずれは終息するだろう。その時、人間社会が修復不能な深い傷を負わぬよう祈るばかりだ。 |
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